天日干し自然栽培米(陽光の愛)
田んぼだより
芒とり、塩水選、種蒔き、苗代(Y-19)
毎年のことですが、収穫したお米の一部を籾(もみ)の状態で保管して、次の年の種籾としています。つまり自家採種ですね。
有機農家の間では昔から、自家採種をするとその土地の記憶が受け継がれていくと言われていました。おそらく先人達が経験から得た知識、知恵なのだと思います。一方で、私たちが学生の頃に習った遺伝の話では、親世代が環境から受けて獲得した形質は遺伝しないと言われてきました。
最新の遺伝子の研究によると、命をつないでいくために様々な環境に適応できるよう遺伝子の中には様々なスイッチが存在、生きてきた環境の中でそのスイッチのオン、オフが起こり、次世代の種にも遺伝子として受け継がれていくと言うことが分かってきたそうです。つまり、その土地の記憶が受け継がれていくと言うことが証明されてきています。
温暖化の影響で、今までの品種ではよい米が採れなくなると、日本のあちこちで米の品種改良が進められていますが、私は、品種改良に頼らずとも、その土地の記憶を受け継いでいく自家採種をすることで、自分が耕作している土地に最適な種に進化していくものと考えています。
さて、種蒔きの準備として、まずは籾から髭のように伸びた「芒(のぎ)」を取り除きます。のぎ取り専用にしている古い餅つき器を利用、籾同士がこすり合って、その摩擦力で芒を取り除きます。
芒とりが終わったら、次は塩水選です。全く選別されていない状態の籾では、中身が良く詰まっていない物も含まれてしまっています。塩水の浮力を使って、中身が良く充実した種籾だけを選別します。塩水に籾を投入、浮かんだ軽い籾を全て取り除き、底に沈んだ充実した籾を種籾として使います。
塩水選の後、付着しているかも知れない病原菌を取り除くことを狙って、60℃の熱水に10分間つけます。10分後、すぐに水に漬けて冷やします。
これで、種籾の前準備が完了です。さらにこの後、芽出しをするために、1週間ほど、常温の水に漬けます。酸素不足になるので、毎日水は交換します。
我が家ではみのる式の苗箱を使用しています。植え付ける苗1株毎に小さな丸い穴がたくさん空いた苗箱です。前の年の汚れをきれいに水洗いし、天日に干して乾燥させておきます。
田んぼでは、無農薬、無肥料栽培ですが、苗作りでは、米ぬか、蛎殻と天然苦土、天然腐植で作られた肥料、それらを混ぜて発酵させたボカシ肥料を使います。熱殺菌をした赤土、くん炭(籾殻を炭にしたもの)、そしてこのボカシ肥料を混ぜ、苗箱に詰める苗土を作ります。
苗箱に作成した苗土を入れ、芽出しの終わった種籾を播き、種がかくれるように覆土します。友人のところにある播種機を使わせてもらって、100枚程度の苗箱に種蒔きを行います。自家用に少し植えているもち米については、手作業で種蒔きをしています。
準備が整ったら、苗代作りです。あらかじめY-19の田んぼの一部を整地し、根切りシートを敷いた上に苗箱を並べます。苗箱の上に板(コンパネ)を敷き、足で踏みつけ、しっかりと鎮圧します。鎮圧後、たっぷりと水をかけ、シルバーシートで覆ったら苗代の完成です。
シルバーシートで覆っているので、保温、保水されていますが、苗箱は根っこが伸びるように底に穴が空いており、そこから水分が抜けていくので3日目、1週間後と、数日おきにシルバーシートを少し剥がして状態を確認、乾燥気味であれば、再び水をたっぷりかけ、再度シートで覆って生育を促します。
稲が発芽し、数センチに伸びたところでシートをはがし、苗代のまわりに土手を作り、水を溜められるようにして苗を育てていきます。
田んぼだより(稲のようす)
田んぼの今の状況をお伝えしたいと思います。
我が家では、現在三枚の田んぼで稲作を行っています。それぞれ1反強の面積があります。全てが手作業中心の我が家の稲作では、この程度の面積が丁度良い大きさです。
長方形のY-06は、幅は狭いのですが長さが80メートル以上あって、手作業の田植えに最も時間を要します。
三角形のY-13は、昔播いたヘアリーベッチなどの緑肥がひとり生えし、最も生育が旺盛な田んぼです。
Y-19は、地元の小学校に近く、毎年5年生が社会科もしくは総合学習の授業の一環で稲作体験を行っている田んぼです。
それぞれの田んぼの今の様子は、下のボタンをクリックすると見ることが出来ます。