Y-13(2024)田んぼだより

 例年一番最初に植えていたY-13の田んぼは、上流の田んぼとの水確保の関係で、急遽一番最後に田植えすることに変更しました。
 緒方井路のおかげで、ほぼ涸れることのない水が確保されていますが、その支流の中で上手に水を分配出来ない設備と人間のため、10日ほどかけても一向に水が溜まりませんでした。溜まらないどころか一滴も水が流れてきませんでした。水路の上流を確認しに行くと、田植えのための水を確保するため、水路を完全にせき止め、下流には一切水が流れないようになっていました。そんな水の使い方をする人が二人いました。どちらの方とも話をしましたが、争っても仕方ないので、上流の田んぼの方に先に水を使ってもらい、田んぼに水を張り、田植えをしてもらうことにしました。

 我が家の田植えは、一番最後の予定だったY-06を一番に、次は5年生の体験学習があるので、Y-19に植え、最後がY-13と言うことになりました。
 全て手作業での田植えなので、それぞれの田んぼの田植えに2,3日ずつかかるので、1週間おきに田植えを行い、Y-13は7月4日が田植え初日となりました。
 初日の午前中、2番目の田植えの応援に来てくれたSくんが、また応援に来てくれました。!さらに声かけをしてくれたようで、オーガニックのお弁当を作っているHさんも応援に来てくれました。!本当にありがとうございました。
 午後からの応援は、Sくんだけになりましたが、途中から我が家の長男も久しぶりの応援に駆けつけてくれました。!午前も午後も3人で頑張って、かなり植えることが出来ました。

 2日目は、鹿児島から田植え応援のためにわざわざ末娘が帰省してくれ、妻と3人で植えました。
 2日間でかなり植え終わったので、3日目は、一人で早朝から田植えをしました。面積的には狭いのですが、田んぼの幅も狭くなっているところで、田植えロープを頻繁に移動させなければならず、一人作業ではかなり時間がかかってしまいました。朝飯前、と言うわけにはいきませんでしたが、通常の朝食の時間よりだいぶん遅くまで掛け、無事植え終えることが出来ました。 

(2024.7.6 撮影。)

 田植えが終わればすぐに除草作業が始まります。先に2枚の田んぼで田植えが終わっているので、除草作業も2枚の田んぼですでに始まっています。だから作業が混雑してきてどんどん大変な状態になっていきます。この時期は、田んぼの除草作業を最優先で計画を立てます。ムリをせず、一度に行う作業は一枚の田んぼの縦方向もしくは横方向の一方だけとし、三枚の田んぼを順にまんべんなく除草していきます。

 7月11日、この日までにすでに縦除草1回目を終え、横除草の1回目を始めたときのことでした。ゴキッ、と異音がして除草機を押していく手応えが急変しました。見ると、2条式除草機の左足がボキッと折れていました。就農2年目ぐらいに購入して、ずっと田んぼ除草で活躍してくれたのですが、ついに終わりの日が来てしまいました。過酷に使い倒すので、使い始めて2~3年目ぐらいには、田車の固定部分にガタが出始ました。アルミのフレームに穴を開け、アルミの補強プレートを付け、針金などでぐるぐるに縛り上げて固定し、ガタつきを抑えこみ、何とかこれまで使ってきました。その本体のアルミフレーム自体が折れてしまったので、シロウトの補強ではムリな状態になってしまいました。

 この日は、残った右側の足だけを使って、横除草を行いました。2条で出来ていたものが1条になり、しかもバランスが悪いので通常時より倍以上の時間がかかり大変な作業となりました。長い間苦労をかけましたが、1号除草機は今回が仕事納めとなりました。長い間本当にありがとう!

(2024.7.11 撮影。)

 ということで、急遽、除草機2号機を購入することにしました。1号機は店頭に並んでいるアルミ製の2条式のものというだけで購入しましたが、30センチ間隔で苗を植える我が家の田んぼでは、田車の幅が約18センチと、ちょっと小さすぎてイネの株元に草が残りやすくなっていました。そこで2号機はもう少し大きめの幅21センチのものを購入しました。取り回しは悪くなりますが、除草効率はかなりアップすると思います。

(2024.7.18 撮影。)

 除草機が壊れるというハプニングのため、少し除草計画がずれてしまいましたが、2号機を使って、早急に遅れを取り戻します。先に田植えが終わり、除草作業も先に始めていた2枚の田んぼでは、非常に除草が順調で草の少ないきれいな田んぼになっていますが、このY-13の田んぼも、きれいに除草していきたいと思います。

(2024.7.24 撮影。2回の除草が終わった後。除草で浮き上がった草が、水出口付近に集まってきています。)

 他の2枚の田んぼでは、水が切れると言うことは全くありませんが、Y-13は、水路支流の一番最後にあることと、直前の水路の構造設計が良くないために、昨年までは、水が切れることが頻繁にありました。今年は、田植え時期を一番最後、7月初旬にしたことで、上流の田んぼが大量に水を流し込む時期が過ぎた後で、ほとんど水が切れることが無くなりました。
 いったん水が切れると、一番地面の高いところから干上がっていくのですが、トラクターの耕耘、代かき時の均平が完璧では無いため、田んぼ中央部がいつも一番高くなっています。長年同じ状況が続いてきたので、この部分が草が生えやすく、また次の年度へと種を落としているのでまた翌年も草がよく生える感じでした。今年は水が切れないので、昨年までより草の発芽が少ないようですが、それでもやはり、田んぼ中央部にヒエが多く、2号除草機でも、取り残すものが出てきました。

 いつもの年だと、除草機を3回かけ終わった後に、手作業で取り残ったヒエなどを抜き取る作業をしていたのですが、その時にはかなり大きく育ってしまっているため、抜くのも運び出すのも大変になっていました。今年は、除草機をかけながら、ヒエの取り残しが気になり始めたら、除草機の使用をいったんお休みし、草の多い部分だけを集中して手作業で抜き取ることにしました。そうすると、まだそこまで大きな草になっていないので、抜き取るのも運び出すのも普段の年よりかなり楽で一度に大量の草を運び出すことが出来ました。
 そうしたちょっとした作業手順の改善もあって、今年はとても除草がうまくいき、大きめの草はほぼ取り除けたように思います。

(2024.8.3 撮影。 最後の除草機による除草作業中。)

(2024.8.3 撮影。除草作業終了後。水が濁り、除草された草が浮いています。)

 Y-19の田んぼで3年ほど前から見かけるようになったジャンボタニシですが、今年は3枚の田んぼ全てで普通に見られるようになってしまいました。そもそもタニシではなく、「スクミリンゴガイ」が正式名称で、貝の仲間。南米原産で業者によって食用として輸入されたものの全く売れず、そのまま無責任に廃棄され野生化して各地に広まってしまったと言うことです。その業者が営業用に「ジャンボタニシ」と名付けたようです。
 本来の日本のタニシは、かつての毒性の強い農薬によって激減、絶滅危惧種になっていますが、ジャンボタニシは、そんな農薬が規制された後に我が物顔で広がっていきました。1個人、1企業の無責任な行いが、取り返しの付かない事態を招いています。


(2024.8.17 撮影。)

 かなり稲が育ってきました。今年はヒエの除去がかなりうまくいったように思います。最初に田植えしたY-06ではすでに出穂が始まっています。Y-13もかなり大きくなってきました。

(2024.8.20 撮影)

 最後に田植えしたY-13でも出穂が始まりました。緑の元気な葉の間にかわいい籾がちらほらと、あちこちに見えてきました。

 温暖化の影響で海水温が上昇し日本近海で台風が発生することが多くなりましたが、偏西風その他の状況も合わせ、今年の台風の針路は、関東から東方面にばかり向いていました。ところが8月末、当初予想から大きく進路が変わり、台風10号は九州に上陸しました。海水温が高いのでかなりの勢力まで発達しましたが、九州に到達すると、急速に弱くなり、我が家のあたりでは、大きな被害が出るほどの雨も風もなく通り過ぎてくれました。
 私が借りている借家も、畑の農業用ハウスも、どれもみな老朽化しているものが多く、台風が来るといつもとても心配で、ハウスが飛ばされないように懸命に対策を施します。ただし、田んぼでは水の入口を閉めるだけで、出来る対策がほぼなく、毎回ヒヤヒヤしながらやり過ごします。今回も何とか無事に持ちこたえてくれました。台風通過後、Y-13ではさらに出穂が進み、稲の花があちこちで咲きました。

(2024.8.31 撮影)

 お盆過ぎから、朝晩は涼しくなってきたものの、日中はまだまだ残暑が厳しく、35℃近い気温が続いています。雨も少なく好天で、稲はすくすく育っています。そして気がつくと、きれいだなあと思っていた田んぼに、取り残ったヒエが稲よりも高く頭を出し、実を付け始めたのが見えてきました。残念ですが、除草が完璧だとは行かず、いつも草が多かった箇所にヒエが出来ていました。稲と稲の株間は、ほとんど目立った草が見えないので、稲のすぐそば、分けつした葉の間からヒエが伸びているようです。
 9月に入り、畑作業も忙しくなり、なかなか時間を確保出来そうにありませんが、稲刈りまでの早い時期にヒエ除去が出来ないかなと考えています。

(2024.9.11 撮影)